耳と音量

イヤホンの音量は「最大の60%まで」——WHOのQ&Aとe-ヘルスネットが、音の大きさと聞く時間の目安を書いていました

通勤の電車でイヤホンを耳に入れ、いつもの曲を流すと、走行音に負けて少し聞き取りにくいことがあります。

そういうとき、手は自然に音量のボタンへ伸びます。1つ上げ、もう1つ上げると、ようやく歌詞が聞き取れるようになります。

家に帰ってイヤホンを外したあとも、耳の奥がこもったような感じが残る日があるかもしれません。

ワイヤレスイヤホンは、コードが無いぶん、着けたまま過ごす時間が長くなりがちな道具です。どのくらいの音で、どのくらいの時間なら耳に負担が少ないのかは、箱の説明にはあまり書かれていません。

最初の記事では技適マークを総務省の資料から、2本目の記事では捨て方を市区の資料から読みました。今回は、使っているあいだの耳の話です。

開いたのは、厚生労働省のe-ヘルスネット「ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)について」と、そこが参考文献に挙げているWHOの「Safe listening」のQ&Aです。どちらも2026年9月27日に読んだ文を引きます。耳の症状の見立てや治療の選び方は、この記事では扱いません。

この記事でわかること
・e-ヘルスネットは、ヘッドホン難聴を「少しずつ進行し、初期には自覚しにくい」と書いている
・WHOの目安は、80dBなら1週間に40時間、90dBなら4時間
・WHOは、端末の音量を最大の60%までにする、という具体的な書き方をしている
・一度きりの非常に大きな音でも、内耳の細胞は傷つきうる
・耳の違和感に気づいたら、早めに受診する

ヘッドホン難聴は、どうやって起きるの?

大きな音で聞くと、耳の中で何が起きている?

e-ヘルスネットは、音を伝える細胞が少しずつ壊れて起こると説明していました。

頁の冒頭は、ヘッドホン難聴をこう説明しています。

ヘッドホンやイヤホンを使い、大きな音量で音楽などを聞き続けることにより、音の振動を脳へ伝える役割をしている有毛細胞が徐々に壊れて起こる難聴です。

続く一文が、この難聴の厄介なところを書いていました。

少しずつ進行していくために初期には自覚しにくく、とはいえ失った聴覚は戻りません。

気づいたときには進んでいる、という書き方です。頁の最終更新日は2024年11月11日です。末尾には、耳鼻咽喉科の大学教授の名前と経歴が載っていました。

どのくらいの音なら、どのくらい聞けるの?

「大きな音」って、どのくらいの大きさ?

WHOの目安は、音の大きさと1週間の時間の組み合わせで書かれていました。

e-ヘルスネットは、WHOの目安を次のように紹介しています。

WHOでは、80dBで1週間当たり40時間以上、90dBで1週間当たり4時間以上聞き続けると、難聴の危険があるとしています。

10dB上がるだけで、目安の時間は10分の1になっています。WHOのQ&Aの表では、95dBで1時間15分、100dBで20分と、さらに短くなっていました。

e-ヘルスネットは、もっと大きな音についても一文を置いています。

なお、100dB以上の大音響では急に難聴が生じることもあります。

WHOのQ&Aも、一度きりの音について同じ向きのことを書いていました。

Yes, even a one-time exposure to extremely loud sound can damage your inner ear cells and cause hearing loss.

非常に大きな音なら一度でも内耳の細胞を傷つけうる、という答えです。

音量は、どこまで下げればいいの?

dBと言われても、イヤホンの音量の目盛りでは分からない…

WHOは、端末の音量を最大の60%までという書き方をしていました。

WHOのQ&Aは、音量を下げる方法を、端末の目盛りで書いています。

This can be done by setting your device’s volume level to no more than 60% of maximum.

音量の目盛りが10段なら6段まで、という読み方になります。音の大きさを測るアプリを使う場合の目安も、続けて書かれていました。

If you are using an app to monitor your sound level, it is best to stay below 80dB average.

アプリが無いときの確かめ方もあります。

If you don’t have an app, check if you have to raise your voice to be heard by someone standing at an arm’s length from you.

腕を伸ばした距離の人に声を張らないと届かないなら、その場所の音は大きすぎる、という目安です。WHOのQ&Aは、この問いの答えを次の一文で結んでいます。

If yes, the sound volume is too high.

耳に違和感があったら?

イヤホンを外したあとも、耳がこもった感じが残るときは?

e-ヘルスネットは、違和感に気づいたら早めの受診を書いていました。

頁は、ヘッドホン難聴の症状として、耳が詰まった感じや耳鳴りを挙げています。そのうえで、こう書いていました。

重症化すると聴力の回復が難しいため、そのような耳の違和感に気づいたら早めに受診することが大切です。

音量を下げる、休憩を挟むといった予防の話と、違和感が出たあとの話は、頁の中で分けて書かれています。違和感が続くときに自分で様子を見続けてよい、とは書かれていませんでした。

この記事で確認したこと

イヤホンの音量について、e-ヘルスネットとWHOが書いていたこと
・ヘッドホン難聴は、有毛細胞が徐々に壊れて起こり、初期には自覚しにくい
・80dBなら1週間に40時間、90dBなら4時間を超えると難聴の危険(WHOの目安)
・100dB以上では急に難聴が生じることもある
・端末の音量は最大の60%まで、アプリで測るなら平均80dB未満(WHOのQ&A)
・耳の違和感に気づいたら、早めに受診する

よくある質問

ノイズキャンセリングのイヤホンなら、音量を気にしなくていいですか

WHOのQ&Aは、騒がしい場所で音量を上げずに済むように、耳に合ったノイズキャンセリングのヘッドホンを使うことを挙げていました。音量そのものの目安(最大の60%まで・平均80dB未満)は、別に書かれています。

60%というのは、どの機種でも同じ大きさですか

WHOのQ&Aは「最大の60%まで」と書いているだけで、機種ごとの音の大きさの違いには触れていませんでした。音の大きさを確かめたいときは、アプリで測る方法が同じQ&Aに書かれています。

技適マークや捨て方も知りたいのですが

イヤホンの技適マークは最初の記事、電池を外せないイヤホンの捨て方は2本目の記事で読んでいます。

この整理が変わる条件


出典

音量の目盛りを1つ下げるところから始めてください。

上の出典を引いて確かめた日:

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